nobuとRyosukeの建築ブログ

静岡を拠点に活動する青木設計事務所の建築ブログです。

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光の美術館 クラーベギャラリー(設計:安藤忠雄)
 

安藤忠雄氏の代名詞でもあるコンクリート打放造りの建築です。
しかも、自然光だけで作品を鑑賞する世界で唯一の美術館です。
クラーベは、巨匠ピカソに認められ世界の画壇に躍り出た画家で、ここ清春のラ・リューシュにも滞在したことがあり、それが縁で、クラーベから寄贈された大作が展示されています。



この美術館は、決して大きい建物ではありませんが、建築の教本になるような手法が随所にちりばめられた建築です。

打ち放し型枠の目地から見ると、間口
3間×奥行き8.5間×高さ4.5間の寸法のキュービックな建築。
出隅コーナーの
1カ所がテーパー状に斜めにカットしてあります。
日本で流通する規格寸法を無駄無く上手に使うことは、大切なことです。
さすがに仕上がりがきれいです。

このテーパーのカット部分には、トップライトのガラスはめ込まれてあります。
コンクリート壁の小口が斜めに大きく見えてしまい、意図しているシャープでスッキリした感じとは裏腹に、おおぼったい感じが拭えません。外部からの見えかたとして、
RC壁の小口を鋭角の頂点だけが見えるようにカットすれば、もっとシャープで、頂点の垂直線だけが見えるようになったのではと思うのですが・・?この部分は、内観でも決して美しい納まりではなかったのが残念です。


 

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コンクリートの庇を通りエントランスに入ると、正面にステンレスのカウンターがあります。
天井高
2400の受付を通り右に曲がると、天井高7.2mの展示ホールに抜け出ます。入口は低く低く、そして、奥へは高く高く、広く広くの手法です。建物の構成は、四角形平面を対角線に切り取り、半分を2階展示ホール、残り半分を吹き抜けの計画です。
ホールに躍り出た途端に天窓よりふりそそぐ光が、コンクリートで統一した床・壁・天井の無機質な空間を、天候や時間の変化とともに抽象的に映し出します。来訪者は別世界に迷い込んだ時のような、高揚した気持ちで館内を巡ります。展示物に目を配ることも忘れそうなくらい身が引き締まる感覚です。


コルビジェが
初期の計画案で小さな四角形の住宅を設計していた時の話があります。
の小さな空間でもっとも大きな寸法が何かを探していて、それが対角線であることを発見したとの記述を思い出しました。
対角線は、広がりと収束を同時に合わせ持つ特異な区分線です。

普段、建築を計画するうえで忘れかけていた線だったので、今回のことで改めて着目することができ、少し視野が広がった気がしました。



最後にトイレに入りました。
芸術的というべきかアートというべきか、
静寂で神秘的な空間でした。

 
 
 

 

nobu







 

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梅原龍三郎氏のアトリエ(設計:吉田五十八) 外観

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梅原龍三郎氏のアトリエ
(設計:吉田五十八) 内観




ゴールデンウイークを利用しての建築探訪です。
曇りがちな天気でしたが、交通もさほど渋滞もなくドライブ日和の良い一日でした。

 


清春芸術村は、北杜市の郊外で少し山を登った丘の上に位置しています。
最初に目に飛び込んでくるのは、赤煉瓦造りで円形状の多角形の建物です。
これは、「ラ・ルーシュ」という名前の
パリにあるアトリエを模して再現されたものです。
一見ドーム型の教会を思わせるものですが、
アーティストたちの創作の場としての貸し出しアトリエとのことでした。


この芸術村には、日本の近代建築を牽引してきた、
著名な建築家達の設計による建物が棟を連ねています。


設計に携わる者にとっては、楽しい一日が過ごせる場所でもあり、
それらを感想を交えて紹介していきたいと思います。

 


 

梅原龍三郎氏のアトリエ


吉田五十八の建築を目にするのは、初めての経験です。
画家のアトリエで木造平屋の小さな建物です。

玄関ポーチに向かって歩いて行くと、
母屋の切妻屋根にそっと寄り添う下屋の片流れ屋根が、
私達を静かに迎え入れてくれます。

内覧ができなかったので窓越にみる程度だったことが残念でしたが、
外観の質素さに比べて内部のおおらかさは、
ガラスの窓越からも十分伝わってきます。


日本の住宅に下がり壁を設けず、
床から天井いっぱいまで建具で間仕切る手法を取り入れたのは、
吉田五十八が最初だと記憶しています。
それと今では一般的で誰もがつかう、
障子やふすまを壁の中に引込んでしまう手法も、
吉田五十八が最初だったと思います。

もちろんこの建物でもはっきりと見てとれました。
玄関から見える奥のアトリエの建具(ふすま)がそうです。
天井面ですっきりとアトリエのボリュ—ムのある空間が切り取られているため、
玄関に立つと吸い込まれていくような感覚が伝わってくるようです。
ふすまもきっちり壁の中に収まっています。



これがまさしく、「吉田和風」なるものと感じ入りました。



nobu 









 

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バイオリン、ピアノ、フルート、リコーダー四重奏の音楽会

「東日本大震災義援金としてのチャリティーコンサート」に行きました。
企画は静岡で音楽教室を開く先生とその仲間達。
プロの生演奏と、未熟ながら教室の子供たちの演奏もあり、
それぞれの思いは違っても、
場をひとつにする音楽の魅力とライブの醍醐味を、
久しぶりに感じました。

建築もしかり、
写真から発するものには限界があります。
やはり、現場にて
「光・音・触感」等に五感を働かせ、
素直に感じるものに、設計活動に活かせる手がかりがあるはずです。
もっと建築に接しなくてはなりません。

しかしながら、
音楽家たちの意欲的なチャリティーコンサートに接し、
私の建築士としての活動も問われているようで、
災害時だけではなく、日常のボランティア活動に、
もっと意欲的でなくてはならないと、考えさせられました。


写真は、知人の清水貢年さんのポストカードです。

コンサートの案内といっしょに配られたものです。
清水さんの旅の写真画像も、 
音楽会といっしょにバックスクリーンに放映されました。

彼の写真には必ずと言っていいほど、
旅先で出会った子供たちの愛らしい姿があります。
彼のあたたかさとやさしさを感じます。


nobu




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加藤先生の家におじゃましてきました。

季節が巡り、庭のヤマボウシにもようやく葉が茂ったことで、家の雰囲気が生き生きとしてきました。
庭を挟んでアトリエと母屋が向かい合っているので、季節の変化が庭を介して建物内に色濃く現れています。

また、住みながら建物のあちこちに手を加えてくださり、訪れるたびにワクワクしてしまいます。




今日はというと、この家のアトリエを使って建築作品展をやらせていただきたいというご相談をしてきました(建築模型や写真の展示、モザイクタイルや塗装のワークショップなどを考えています)。

加藤先生はこちらの無理な要望を快く受け入れて下さり、本当に感謝しています。


早いうちに段取りをして実行していきますので、ご興味のある方は是非!



Ryosuke










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『稲川アパートメント』の現場ではいよいよ型枠工事が始まりました。
通常の型枠では出ない表情を出すために、
あれやこれやと、型枠の材料を変えてみて試行錯誤を繰り返していたのですが・・・
震災の影響が大きく、私達の考えていた材料での施工は厳しい事になりました。
そこで、パネル目地で表情を出そうと考えました。
写真のように、1800×600のパネルと900×600のパネルを互い違いに組み合わせ、しかもパネルの張り方向も反転させることで、パネルのジョイント目地と共に、コンクリート壁の打ち上がりが、より一層表情を豊かにすることを期待しています。



建築は、大草原に小さく佇もうと
ここ稲川のようなにぎやかな大通りに面していようと
道行く人の目に触れ
何かを感じさせてくれるはずです。


街並みに表情を与えて
心を弾ませてくれるような
ウキウキさせてくれるような
さりげなく生活に潤いをあたえてくれるような

そんな建築を造りたい。





nobu







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Photo.平和町の家




ずいぶんと更新をおろそかにしていました。

まず、東日本大震災により被災された人たちに心よりお見舞いとお悔やみを申し上げます。

地震から今日でちょうど一月。
今もなお余談を許さない状況です。
今、自分たちにできる行動をしていかなければなりません。



一月前は真冬のように感じた寒さもやわらぎ、
今日あたり静岡の街はどこも桜が満開です。
春の霞がかった空にピンクのさくらがよく映えます。


上の写真は静岡市内にある親類の家。
青木設計事務所として初めて設計した家です。
もうかれこれ20年近く経ち・・・

毎年この季節になると、家の前の桜がとてもきれいだったなとふと思い出し、打ち合わせ前に寄らせていただきました。

特別に主張するでもなく、いつ来ても凛とした佇まいという印象の家。

ほんの数枚ですが手取りの写真をHPの方にもアップしておきましたので、また覗いてみてください。 





Ryosuke





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関係者一同


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敷地



平成23年2月7日:大安吉日の地鎮祭。
稲川のこの地の神様を鎮め、
工事の安全と竣工までの無事を、
工事関係者一同で祈願する、
日本古来の伝統儀式です。

この日ばかりは、私たちも正装して式に出席。
鎌入れ、鋤入れ、鍬入れの儀式は、
いつ見ても工事着工の伝統の深い味わいを感じ
「エイ・エイ・エイ」のかけ声と共に
心引き締まる時です。


この日を迎えるまでに何度もこの土地を訪れて、
光や風の抜け、周辺に住む人や建物との関わりなど、
建物を計画するための調査・検討を行ってきました。

今回は、建物が静岡の中心にほど近い幹線道路沿いに建つこと、
規模が一般住宅に比べて大きいことも関係してか、
より広域的な土地の意味や歴史まで意識させられた気がします。

土地と建物は切っても切り離せない関係です。
小さな土地でも大きな建物でも、自分だけにならずに、
土地の事、まわりの事、町のことをみんなが少しずつ意識すれば、
もっともっと住みやすい静岡になっていくのではないでしょうか。


本日は、この地に建つ建物が末永く町に好まれるよう願うばかりです。


建物の詳細については追ってご紹介致します。



nobu, Ryosuke





 

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OSB


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ラーチ


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施工の様子






自作で型枠を造り、コンクリートを打ってみました。

現在計画中のワンルームアパートの外壁のスタディです。
化粧合板型枠による規則正しい凛とした表情も美しいのですが、今回は建物自体がシンプルな箱形となるため、少し表情に変化のあるものが出来ればと考えて試行錯誤中です。


今回はコンクリートの打ち上がりの表情を、通常のコンパネではない、OSBとラーチ合板で試してみました。

何ぶんにも初めてのことで、打ち上がりは、ピンホールあり、ジャンカーありとさんざんなものですが、それ相応の表情は出せたかと思います。

この素地の壁面を損なわないように、薄化粧の色彩を施して仕上げる予定です。



コンクリートという素材には、「重たい」「固い」「冷たい」というイメージを抱きがちです。しかし、型枠次第でまったく違った表情を見せてくれる面白い材料でもあります。

もっとスタディを重ね、今回の建物に合ったコンクリートの表情を模索していきたいです。



nobu 











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昔の写真をパラパラ見ていると、なにやら存在感のある顔が・・・

 

これは、ドイツの建築家ピーター・ヒュープナーによるシュタムハイム青少年クラブという施設。


「建築って《
自由》なんだ!」と僕の価値観を広げてくれた建築でもあります。

 

 

さすがにこの顔はやりすぎじゃないかと思いつつ、
実際に見に行くと、そんなのすぐに吹っ飛びました。

 


開口部は直角なんて無視して流れるように開いていたり、

よくわからない方向にポコポコ増築したような跡があったり、

柱は子供が掘ったような愛嬌のある精度で彫刻されていたり、

ハッピーな気持ちにさせてくれるモザイクタイルがあちこちにちりばめられていたり・・・

 

これは、図面を書けと言われてもムリです。
(実際、施工するときに図面はなかったそうで)

 

 

まるで子供が描く絵のような自由な建築

 

 

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この町には悲しい歴史があって、未来の子供達のために地元の人達が集結してセルフビルドでつくりあげた、というエピソードを学校の授業で教わったような記憶があります(たしか)・・・。施工当時から20年以上経っているのに、つくっていた人達の当時の笑顔や願いが今も伝わってきます。



愛情のこもった手料理が世界一おいしいのと同じで、ここで過ごす子達はみんなこの建築が大好き!

 

そんなこんなで町で知らない人は居ないというこの有名人は、魂が宿って今にも動き出しそうなほどの生き生きしさと、優しい表情をしていました。

 

 

 

こういう施設だからこそ、みんなでつくる意味があるんだなぁ。

そういえば昔の人は、自分たちの祈りの空間(教会)は自分たちの手でつくったとか・・・

 

 

この建築の設計者はきっと気づいていたんだろう。

一人では到底到達できないところへ、みんなと一緒になら行けるということを。




Ryosuke

 

 

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写真は、15年前に竣工したH邸の改修工事の様子。
この間、7年前に外廻りの木部だけは塗装の改修を行っているが、
今回は、施主の家屋に対する想いから、外壁のリシン掻き落とし、屋根、幕板、鼻隠し、戸袋、あるいは板金部分や、外構の物置、塀をも含む外廻りのほとんどすべてを、竣工当時によみがえらせたいという大規模の改修である。

この住まいは、外部にしても内部にしても、その仕上げはできるだけ素材を活かそうという主旨のもと設計が進められた。
その甲斐あって、15年という年月は、内部の杉板は心地よい飴色に変え、木々の成長と共に、外部廻りは風雨に打たれながらも、その歴史を刻むことで味わいのある風情を醸し出してくれた。素材の持つ力強い存在感や、奥深しさをつくづく感じる。

今月末には一新された姿を現してくれるはずだが、今、目の前にある少しさびた趣のある風情もまた、私にとっては代え難い姿である。
哀愁に似た寂しい想いを感じるのは、歳のせいだろうか?


nobu







 

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