青木設計事務所の建築ブログ

静岡を拠点に活動する青木設計事務所のブログです。 家づくりをしながら考えていることや実家の井川のことなど 日々を綴ります。

2011年01月

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OSB


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ラーチ


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施工の様子






自作で型枠を造り、コンクリートを打ってみました。

現在計画中のワンルームアパートの外壁のスタディです。
化粧合板型枠による規則正しい凛とした表情も美しいのですが、今回は建物自体がシンプルな箱形となるため、少し表情に変化のあるものが出来ればと考えて試行錯誤中です。


今回はコンクリートの打ち上がりの表情を、通常のコンパネではない、OSBとラーチ合板で試してみました。

何ぶんにも初めてのことで、打ち上がりは、ピンホールあり、ジャンカーありとさんざんなものですが、それ相応の表情は出せたかと思います。

この素地の壁面を損なわないように、薄化粧の色彩を施して仕上げる予定です。



コンクリートという素材には、「重たい」「固い」「冷たい」というイメージを抱きがちです。しかし、型枠次第でまったく違った表情を見せてくれる面白い材料でもあります。

もっとスタディを重ね、今回の建物に合ったコンクリートの表情を模索していきたいです。



nobu 











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昔の写真をパラパラ見ていると、なにやら存在感のある顔が・・・

 

これは、ドイツの建築家ピーター・ヒュープナーによるシュタムハイム青少年クラブという施設。


「建築って《
自由》なんだ!」と僕の価値観を広げてくれた建築でもあります。

 

 

さすがにこの顔はやりすぎじゃないかと思いつつ、
実際に見に行くと、そんなのすぐに吹っ飛びました。

 


開口部は直角なんて無視して流れるように開いていたり、

よくわからない方向にポコポコ増築したような跡があったり、

柱は子供が掘ったような愛嬌のある精度で彫刻されていたり、

ハッピーな気持ちにさせてくれるモザイクタイルがあちこちにちりばめられていたり・・・

 

これは、図面を書けと言われてもムリです。
(実際、施工するときに図面はなかったそうで)

 

 

まるで子供が描く絵のような自由な建築

 

 

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この町には悲しい歴史があって、未来の子供達のために地元の人達が集結してセルフビルドでつくりあげた、というエピソードを学校の授業で教わったような記憶があります(たしか)・・・。施工当時から20年以上経っているのに、つくっていた人達の当時の笑顔や願いが今も伝わってきます。



愛情のこもった手料理が世界一おいしいのと同じで、ここで過ごす子達はみんなこの建築が大好き!

 

そんなこんなで町で知らない人は居ないというこの有名人は、魂が宿って今にも動き出しそうなほどの生き生きしさと、優しい表情をしていました。

 

 

 

こういう施設だからこそ、みんなでつくる意味があるんだなぁ。

そういえば昔の人は、自分たちの祈りの空間(教会)は自分たちの手でつくったとか・・・

 

 

この建築の設計者はきっと気づいていたんだろう。

一人では到底到達できないところへ、みんなと一緒になら行けるということを。




Ryosuke

 

 

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写真は、15年前に竣工したH邸の改修工事の様子。
この間、7年前に外廻りの木部だけは塗装の改修を行っているが、
今回は、施主の家屋に対する想いから、外壁のリシン掻き落とし、屋根、幕板、鼻隠し、戸袋、あるいは板金部分や、外構の物置、塀をも含む外廻りのほとんどすべてを、竣工当時によみがえらせたいという大規模の改修である。

この住まいは、外部にしても内部にしても、その仕上げはできるだけ素材を活かそうという主旨のもと設計が進められた。
その甲斐あって、15年という年月は、内部の杉板は心地よい飴色に変え、木々の成長と共に、外部廻りは風雨に打たれながらも、その歴史を刻むことで味わいのある風情を醸し出してくれた。素材の持つ力強い存在感や、奥深しさをつくづく感じる。

今月末には一新された姿を現してくれるはずだが、今、目の前にある少しさびた趣のある風情もまた、私にとっては代え難い姿である。
哀愁に似た寂しい想いを感じるのは、歳のせいだろうか?


nobu







 

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新年あけましておめでとうございます。
と言うものの、当事務所では、昨年末には実施設計を終わらせ、競争入札のための現場説明を行う予定であった物件を、予定どおり終わらすことができず、年末年始にかけ今なお図面を描いているありさまです。その上この計画が、延床面積300㎡を超える建物が対象となる、『省エネルギー法 』の届け出が必要なため、またまた四苦八苦している状態です。この『省エネ法』なるものは、温室効果ガス削減のために、建物の断熱効果を高めてエネルギーの消費を少しでも押さえましょうというのが、その主旨のようです。現政府の方針で、20%削減が世界に発信されてのこととは思うのですが、施行された省エネ対策をまともにクリアするには、大変な費用も労力も必要です。建物の断熱性能を上げることにどれほどの意味があるのでしょうか?果たしてほんとうに必要なのかどうか疑問に思います。また、そのような建材を生産するに当たっても大変なエネルギーを消費しているはずです。何やら本末転倒の感すらするのです。


年配の棟梁の話ですが、
「我々がこの職に着いた頃は、建材としての断熱材はなかった。ところが、今の住宅は断熱材なしには施工できない。お客さんの知識も断熱に関しては豊富である。しかしグラスウールのような断熱材は湿気を帯びるとどうしようもない、またコンパネのような建材自体が湿気を帯びて朽ちていく様を見ると、やはり無垢の素材には遠く及ばない。風通しの良い木造の家が一番だ」
と、こんなことを聞かされました。


また、私の施主でRCマンションを引き払い、一戸建ての木造の住まいに引っ越したお客さんがいます。施主曰く、
「ここへ引っ越してから、子供たちが風邪をひかなくなりました。冬はちょっと寒いですけどね」
断熱は公庫仕様の特別なものでもなく、吹き抜けがあり冬は確かに寒いと思います。もちろん、いまはやりの床暖房などありません。それでも、子供たちが力強く成長している話をうかがうと嬉しくなるのです。


「これらの棟梁と施主のお話、何やら通じるものがあるんだよな」と思いながら、最後の追い込みで、パソコンと格闘している真っ最中です。


本年もよろしくお願い申し上げます。


nobu

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