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ふわっとした明かりの、雲の中のような空間体験。
白くて角がない空間。
光源もない、足音もしない 。
風もなければ、音もない。
フラットな世界。

そんな空間の中で、モネの絵を鑑賞してきました。

現在開催されているポーラ美術館の企画展です。
会場構成を建築家の中山英之さんが手がけています。
中山さんと言えば「おとぎ話×建築理論」のお方(という個人的な印象)
僕が学生の頃から憧れの建築家さんでして
この人の本は何冊も読んでいるし、今だに影響を受けまくっているお方です。
中山さんらしい建築概念の浮世離れした空間を体験したくて、行ってきました。

ただ、これ言ったら怒られそうだけど
正直、今回のこの展示空間を体験した感想は、
ちょっと気持ち悪いかも?でした。
目眩がしてしまって、、僕の三半規管が弱いからかな。
それくらいに異質な空間に感じました。


通常の展示では、作品を照らすスポットライトにより絵に焦点が当たっているのに対し
この展示には光源は無く、明るさの焦点もありません。
モネの絵も、鑑賞者である人も、全てが明るくフラットな関係です。
ふわっとした光の中に、自分も、他の鑑賞者も、モネの絵も
同時に同じような条件で存在している。
まさに、光の中に、です。 
白い曲線の空間の中で自分次第で絵に焦点を当てて、絵と向き合うことになります。
僕はウネウネしているトタンの素材感と他の鑑賞者が気になりすぎて、
なかなか絵に意識を持っていくことができなかったです。

また、「どこまでも続いていくような空間」を狙って空間の角は曲面になっていましたが
空間の輪郭を消したいのであれば、あまりにも空間ボリュームが無さすぎると思いました。
白い洞窟の中に閉じ込められているような身体感覚でした。
ずっとカメラのピントがずれているような。 
それで気持ち悪くなったのかな?
ネガティブなことばかり言ってすみません、、

一番の違和感は、
森の中に沈み込むような体験を経てたどり着く美しいポーラ美術館という建築においてやるべき展示ではないのではないか、と思ってしまったことです。
この日は、周辺の森は霧に包まれた幻想的な景色で、モネの展示空間の仮想世界は文字通り霞んでしまいました。
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ちなみに上の写真は、モネの展示と同時にポーラ美術館で開催されていたロニ・ホーンという作家の展示です。
環境を映す水のようなガラスの彫刻。 
自然に呼応していて、素直に響きました。良かったです。


とはいえ、
印象派のモネに時代背景を踏まえて寄り添い
モネが絵を描いた時の環境の色味に近づける体験を目指した 
今回の展示、考え方には脱帽です。
とても自分ではこのような哲学的なことは思いつきません。 
そこにあったモネの絵は、モネの絵ではないような印象で、モネの絵を身近に感じさえしました。
とても刺激を受けたので、日々の空間づくりに活かしていきたいです。


良介