青木設計事務所の建築ブログ

静岡を拠点に活動する青木設計事務所のブログです。 家づくりをしながら考えていることや実家の井川のことなど 日々を綴ります。

2021年12月


画像は着工したばかりの「明王寺書院庫裡再建工事の屋根構造軸組のモックアップです。
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切妻屋根が直行する隅木(谷部分)の軒先納まりの模型です。
軒桁・登り梁・隅木・母屋・垂木・幕板・その他羽柄材と各部材が絡み合います。
プレカット施工図の打ち合わせした直後に大工さん自ら造ってくれました。
その意気込みをひしひしと感じ頭が下がる思いです。
このモックアップにより図面では描ききれない、机上の打ち合わせでも分かりかねる事が
浮き彫りになります。 
本来の物造りはこうした地道な行為の蓄積と思います。
建築は、数多くの人達が関わる営みです。
職人はもとより監督さん、それを担う事務方、役所の人たち、建材メーカー、
それらを運搬処分する人達と 数限りない多くの方の支えのもと一つの建物が完成します。
そのためには、完成時に建築主をはじめ皆が誇りに思えるような
そんな気持ちに少しでも近づけるように、
私達も工事に携わる一職人として日々努力研磨しなければならない思いです。

今年も一年が過ぎようとしています。
昨年来から続くこのコロナ禍を契機にこれまでの様々な価値が見直されています。
住まいも同じことが言えます。
リモートワークが増えることで家族関係に衝突が起こることも報じられています。
これまで良しとされていたことが一転して否定されるとすれば、
生活自体を見直すことも必要であり、
住まい方自体を再考しなければならない時代かもしれません。

また、世界的な課題として脱炭素社会の実現が取り沙汰されます。
温室効果ガス排出を減らすために建築に携わる 者として、
積極的に取り入れることは大事なことです。

本質は何か?それは建築に限らず あらゆるものに通じる事で、
そこを見失う事なく仕事に従事していかなければなりません。
そんなことをあらためて感じさせてくれた一年でした。

つたないブログですが、こうしてアクセスして下さる方々に感謝の念が絶えません。
皆さま、良いお年をお迎え下さい。
そして、来年が皆様にとって良き年でありますように。

来たる2022年においても、
青木設計事務所をどうぞよろしくお願い申し上げます。


                       令和3年12月31日
                       青木設計事務所 青木信浩 青木良介 

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着々と進んでいる「 I 邸 」のリノベーション
30年以上住み慣れた持ち家の、水回りからリビング寝室まで、ほぼ全ての空間が生まれ変わります。
吹き抜けだった部分をギャラリーにしたり、 防音室を作ったりもして。
今の自分の生き方にフィットさせて考えることができるのがリノベーションの良いところですね!
施主さんからすると、すでにそこに空間があるから、ああしたいこうしたいとイメージしやすいみたいです。
しかし、当時の図面と違うこともしばしばで、下地もわからなかったりするので、壊してみないと分からない部分が多く、現場の職人さんたちは本当に大変そうです。
また進捗をご報告します。

良介

 

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写真上2枚が「明王寺書院・庫裡再建 新築工事」の既存建物
写真下2枚が「馬渕の家 新築工事(仮)」の既存建物

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二つの現場の既存建物の解体直前の写真です。

どちらも蓄積された気配だけが残る静かな空間。
解体直前の建物は、どこか似たような雰囲気を帯びています。

何十年とそこに生きてきた建築の最後の瞬間に立ち会うと、それだけで祈るような気持ちになります。
僕らですら気持ちが揺さぶられるのだから、そこに暮らしていた人にとっては、もっともっと大きなことなのだと思います。
この気持ちを大切に、次の世代の建物や町に継承していきたいものです。
人にもモノにも、何事にも、心を通わせていきたいです。

良介



 

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