青木設計事務所の建築ブログ

静岡を拠点に活動する青木設計事務所のブログです。 家づくりをしながら考えていることや実家の井川のことなど 日々を綴ります。

2022年09月

明王寺工事現場の進捗状況2をお伝えします。

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客間より西側の庭を望む。

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奥に二間続きの客間、左手にオープンキッチン、右は広縁です。
屋根の野地板、床合板、外壁廻りにも構造用合板が貼られた状態です。
これで外廻りが囲まれ雨をしのぐことができます。

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 客間よりオープンキッチン、広縁、玄関、お客様用控室を見通します。

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深い軒が室内に陰影をもたらします。

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 玄関、その奥にお客様用の控室。
四畳弱の小さな部屋ですが、床の間、押入をしつらえます。
床板(とこいた)には、旧庫裡の とこいたを再利用します。


今回の再建計画では、旧庫裡で仕上げとして使われていた材料のいくつかを部分的に使うことになっております。取り壊しの際に大事に保管していたものを甦らせる意図です。
これも、住職をはじめ委員会の方々の意向です。
歴史を刻み、受け継ぎ、ものを大事にする素晴らしいことだと思います。 



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終戦後間もない頃、日本の通算官僚たち(現在の経済産業省)は、未来を見つめ、世界と肩を並べても遜色ない豊かな国造りを目指していました。そんな高度施長期の真っ只中の時代背景をもとに描かれた城山三郎著の経済小説です。

今から40年以上も前に出版されたこともあり、普段あまり本を読まない私でさえその時代を生きてきたこともあり、のめり込むように一気に読んでしまいました。

政治家、官僚の資質が取り上げられ、汚職、不祥事、改竄と世間を騒がせる事が多い昨今ですが、ここに描かれている官僚たちは、心底国家のため、国民のために身を削るような苦労を厭わず努力する姿が描かれています。名前こそ変えてありますが、実在の大物政治家を交えて歴史が語られています。

国家のため、国民のためという大義、大命題は同じでも、考えの違いが省内に錯綜するなか、国の方針が決定され歴史が動く様は読み応えがあります。

現在の日本を世界でも有数の経済大国にまで押し上げる要となり、礎を築いた国家の中枢を担う官僚たちが、政治家を巻き込みながらどんな思いで、何を目指して日々奮闘していたのか、僅かですが知ることができました。

この流れで、次は「落日燃ゆ」。 



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明王寺書院庫裡再建工事も完成を間近に控えています。
今日から何回かに分けて、工事の進捗状況をお伝えしたいと思います。
 
棟上直後の書院です。
左手奥の2階部分は、先に棟上げして屋根も葺き終わったばかりの庫裡です。
書院は平家を基本に本堂へ回廊風に繋がります。
画像には見えませんが、左手に本堂が控えています。
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中央は巾6尺の広縁となります。
広縁の奥に10帖二間続きの客間、左手はオープンキッチンです。
天井には杉の化粧登り梁が910ピッチで連続します。
軒の出は6尺(1818mm)と深い屋根下空間ができます。
ここには木製の濡れ縁ができ休息の場としても利用されます。
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客間から広縁・オープンキッチンを望む。
中央は欅大黒柱7寸角、左手奥の玄関・控室を望む。
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南西の庭に向かって開く、二間続きの客間です。
化粧登り梁の深い軒です。
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屋根の谷部分の構成です。
登り梁、谷木、母屋の複雑な収まりも手加工刻みで難なく納まっています。
職人技に感服です。
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着工当時はウッドショックの煽りも受けて困難を極めましたが、
関係者の皆様の協力を得て竣工まで残すところあとわずかのところまで辿り着きました。
皆様には感謝の念が絶えません。
ありがとうございます。
竣工まであとわずかですが、ブログに納めたいと思います。



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大好きなお酒とおしゃれな「LAMY」のシャープペンシルを二人分。
「馬淵の家」の建築主様から完成のお礼にといただいたものです。
設計をさせていただいた上にこんなにもしていただき、設計士冥利に尽きます。

建築は、設計の打ち合わせから竣工までの長い月日の間に、良きにつけ悪しきにつけ
様々なことが起こります。
それらを全部ひっくるめて、喜んでくださっていることを感じありがたい限りです。

LAMYペンはペン立てに納まり、
お酒は、一晩冷やしてご馳走になりました。
爽やかでコクのある美味しいお酒でした。
ささやかですが、晩酌の楽しみがひとつ増えました。




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名古屋モザイク工業主催のデザインアワード2022
非住宅部門にて青木設計事務所が設計監理した「ながぬま整骨院(折り上げ屋根の家)」が入賞を受賞しました。

デザイナワード2022リンク
https://www.nagoya-mosaic.co.jp/designaward/winner2022.html


審査員の五十嵐久枝さん、大西麻貴さんは大変昔から尊敬している作家さんたちです。
選んで頂けて本当に本当に嬉しいです。

以下は応募コメント(コンセプト)と審査員コメントです。


◼︎コンセプト
テーマ:風が流れるように、境界に流れるタイルの土間
おおらかなタイルの土間を共有する、整骨院と住まいの提案です。この土間は、ご主人が営む整骨院の待合スペースでありながら、上階で暮らす家族のための玄関でもあり、時には奥さんが手作りお菓子をふるまうカフェにもなります。人が行き交う土間のタイルは、優しいパステルカラー3色を選んでヘリンボーン張りで仕上げました。タイルの色彩と木のぬくもりで包まれた空間は町に溢れ出し、ここにしかない整骨院のあり方と暮らしの物語を紡いでいきます。 


◼︎審査員コメント(五十嵐久枝 氏)

たっぷり木の温もりを感じるインテリアと建物。柱も壁も天井も建具も床もオール「木」を使用している。年月と共にその味わい深さも増していく様子を想像してしまう。その「木」に対して、というか、共にある広々とした土間のタイル。優しいパステルカラーのヘリンボーン張りであるが中々大胆な選択である。個性的な組み合わせが、建物の中から屋外まで緩やかな繋がりをもたらせている。ここでは人と人との関わりが穏やかであると感じさせる何かを持っている。整骨院とカフェと住宅の融合に良好な解の一つであると感じた。 



これからもタイルと向き合い、空間づくりに活かして行きたいです。


良介



 

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