建築設計に携わる上で大事な事を示唆してくれた論考を読みました。
エストニア国立博物館の設計に携わった田根剛氏による寄稿、新建築12月号「建築は記憶」です。

「場所の記憶から建築を考える」
「建築とは場所に意味を与えること」

誰も知らなかった場所に「ここ」という場所を生み出す。
「そこ」でもなく「あそこ」でもない「ここ」は「還る場所」に他ならない。
建築とは「考え方」、建物は「モノ」と言い切る田根氏の言葉に魅了されます。

私はこれまで、建築(考え方)を設計していたのではなく、建物(モノ)を作っていたと痛感しました。
いかなる場所にも私達の知らない記憶がある。その記憶が何かを突き止め活かし歴史を未来へ繋げることは、建築が担う記憶の継承とも言えます。
それは、建築の大小に関わらず、公共性があるかないかも問わず、すべての建築に言えることです。
「スクラップアンドビルド」この言葉は現在の日本の建築界を象徴しています。
建物は20年、長くて50年のサイクルで消滅し新たに建物が造られる。
建築がその時代背景を写すと言われますが、今の日本の建築の多くが、後世に伝えるべきものを残していないように思えます。
残す前にスクラップされ記憶さえ消され継承もされないまま、別の建物が建ち続けているのが現状です。
建築(考え方)ではなく建物(モノ)が。

エストニア国立博物館は、旧ソ連軍用滑走路が延長され、コンクリートの屋根となり空へ向かって消えていく形態です。
辛い歴史を受入れ、そして決別し未来への希望と飛躍を暗示させる建築です。

建築が未来を示唆する。
建築が未来を担う。
建築は遠い未来へと飛躍する。
建築により未来へ踏み出す。
建築が未来を象徴する。

どんな場所でも、どんな所にも、
記憶に残る原風景と歴史があります。
そんな言葉を彷彿させる建築を創りたい。
私の中に建築に向き合う新たな姿勢が生まれました。
この言葉に恥じない建築を造っていきたいです。


いつもつたない文章ですが、
私達のブログを読んで下さる皆様、
よいお年をお迎えください。
新年は1月5日からとなります。
来年もよろしくお願い申し上げます。



平成28年12月31日
青木信浩 青木良介