青木設計事務所の建築ブログ

静岡を拠点に活動する青木設計事務所のブログです。 家づくりをしながら考えていることや実家の井川のことなど 日々を綴ります。

2021年01月

「風呂と入浴」の記事を読みました。
入浴は人間にとって本来 「蘇生の場」であると言うことです。衛生的に身体を清めるだけではなく、気力を蓄え元気をつけ心身のコンディションを整えるための「英気」を養う場であるようです。

私にとっての 入浴と言えば、身体の汚れを洗い流し、気持ちもスッキリとリラックスして湯船に浸かりながら物思いにふけることもあれば、今日一日の良かったこと、悪かったことを考えたり、気分が良ければ鼻唄など歌ったりします。考えて見ればそれらはリフレッシュすることですから、まさしく「蘇生」だと思いました。この記事を読むまで考えもしませんでした。

私が育った田舎のお風呂は小判形の桧風呂 でした。鉄の釜が風呂桶内にむき出しのため体が釜に触ろうものなら熱くてたまりませんから気をつけながら入ったものです。浴室の床は土間、洗い場は木製スノコ、その隣にモザイクタイルの四角い洗面流し、着替えや下着をおく棚があり広さは3帖ほどの一室空間で、今風の浴室空間を先取りしていたように思います。
そんな浴室でもこんなふうに過去の記憶を呼び覚ましたり、懐かしい感情を引き出してくれます。湯船に浸かった時の「あ〜きもちい〜」の安堵感は誰もが体験していると思います。 

浴室は、最近ではFRP製のユニットバスを使うケースも多くなりました。在来工法にしろユニットバスを使うにしろ少なくとも外部との関係性や繋がりを考えることで、その空気感を自然と感じることができると思います。その心地よさは、機能性はもちろんのことメンタル面でもいつまでも記憶に残り、そこに浸りたいと思う空間になるはずです。

浴室は「蘇生」の場であることをもう一度見つめ、それを感じさせる空間造りが大事なことと思いました。




nobu 

この歳(65才)になって初めて宮崎駿原作・監督の「風の谷のナウシカ」を観ました。
皆さんもご存知の通り40年も前に造られ大ヒットした映画です。
人間の私利私欲の果てに環境が破壊され、 人間の暮らしが一変した物語です。
汚染から身を守るためにマスクをつけた姿は、現在の状況下とまさに重なります。

主人公のナウシカが、腐海という汚染された森は、実はその森自らその犠牲となり
地下へ清らかな水を湛えた美しい世界を造っていることを知り、
これから何をするべきかを悟る物語です。

ある作家の言葉に、
「先人の失敗や努力を知ることで大切にするべきことがはっきりしてくる」とあります。
その言葉と同様に、この映画は宮崎駿監督から私たちへのテーゼとも言えます。

高度経済成長とともに置き去りにされてきた環境破壊は、
50年も昔ですが私がまだ中学生の頃、汚染された空として「スモッグ」、工場用排水により汚染された川・海に堆積した「ヘドロ」、全国的規模に広がった「公害病」と、そんな言葉がメディアに登場しました。

利便性を追求するあまり、反省されることなく私達は現在も同じ過ちを犯しているのかもしれません。
その文明に私もドップリと浸かっている有様です。
この歳になって初めて、環境に優しい 生活とは何か?もう一度考え直さなければなりません。

そんな気持ちにさせてくれた映画でした。



nobu 

みなさま、明けましておめでとうございます。

今年もどうぞ、よろしくお願いいたします。


2020年を迎えた昨年1月初頭は、2020というキリの良い響きや、オリンピックも控えていたこともあり、新しい希望の年の幕が開いた!と思えたものです。

しかし、コロナ以降、生活は一変しました。
人は皆マスクをつけ、直接コミュニケーションをとる事さえ厳しい不空気感です。
建築について言えば、おうち時間おうち空間が見直されていると言われています。
僕らが現在携わっている仕事の中でも、テレワークができる小部屋を新たに設けたり、充実したキッチン空間にリフォームする物件に携わるなど、「うち」に意識を向ける視点が大きくなりました。
 

このような時代の中でも何かの巡り合わせなのか、現在新築の計画では、年末にご紹介した「開かれた新しいお寺」や、「町と生きるサロン&住まい」「仲間たちが集うガレージハウス」と、「うち」だけでは完結しない空間づくりに取り組んでいます。

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時間軸を長く捉え、「うち」だけではなく「そと」を意識した、他者や世界と共存する空間づくりは、もともと日本に根付く思想の一つ。
時代の変化と普遍性を見極めて、責任を持って取り組んでいく一年にしたいです。

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みなさま、いつも青木設計事務所のブログを見てくださり、ありがとうございます。

重ね重ね、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 
青木設計事務所
青木信浩
青木良介


 

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